子宮筋腫の検査と治療(1)手術・薬
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監修: 横田 恵 先生(弘前大学医学部医学研究科 産婦人科 講師)
子宮筋腫の検査と診断
子宮筋腫は、婦人科の診察や画像検査で見つかることが多い病気です。妊娠時の検査で初めて見つかることもあります。症状や子宮の状態を確認しながら、必要に応じて次のような検査を行います。
内診
医師が子宮の大きさ、形、硬さなどを直接触って診察します。筋腫があると子宮全体が大きくなったり、硬くなったりしていることがわかります。
超音波検査(エコー検査)
お腹の上から、または腟の中に細いプローブ(超音波をあてて体の中を映す器具)を入れて、子宮の状態を確認します。筋腫の大きさや数、できている位置を詳しく調べることができます。
子宮鏡検査(子宮ファイバースコピー)
腟から子宮の中へ細いカメラ(子宮鏡)を挿入し、子宮の内腔を直接観察する検査です。特に、子宮の内腔に突き出す「粘膜下筋腫」が疑われる場合に行われます。
MRI検査
超音波検査だけでは診断が難しい場合に、より詳しく筋腫の位置や性質を調べるために行います。手術を検討する際に行われることが多い検査です。
血液検査
月経量が多い人では、貧血の有無を確認するために血液検査を行います。また、悪性腫瘍との区別のために腫瘍マーカーを測定することもあります。
子宮筋腫の治療法
子宮筋腫の治療には、いくつかの選択肢があります。
症状の強さや年齢、将来の妊娠の希望、子宮を残したいかどうかなどによって、選ばれる治療法は人それぞれ異なります。子宮筋腫は良性の病気のため、症状が軽い場合は治療をせず、経過をみていくこともあります。一方で、日常生活に支障が出ている場合や、貧血が強い場合などには、治療が検討されます。
子宮筋腫の治療は、大きく分けて次の2つがあります。
① 外科的な治療(手術)
筋腫そのもの、あるいは子宮全体を摘出する治療法です。 症状の原因を確実に取り除くことで、再発のリスクを抑え、高い治療効果が期待できます。
② 手術以外の治療・薬による治療
薬でホルモンバランスを調整して症状をコントロールする方法や、お腹を切らずに筋腫を縮小・壊死させる治療があります。
どの治療法が適しているかは、医師と相談しながら、ご自身の体や気持ちに合った方法を選ぶことが大切です。
治療法を選ぶときの考え方
子宮筋腫核出術(しきゅうきんしゅかくしゅつじゅつ)
子宮を残したまま、筋腫だけを取り除く手術です。
妊娠を希望している方や、子宮を温存したい方に選ばれることが多い治療法です。
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特徴
子宮を温存できるため、将来的に妊娠・出産を希望する場合に第一選択となります。また、妊娠の希望にかかわらず「子宮を残したい」という意向がある場合にも適した方法です。 -
留意点
目に見えない小さな筋腫が残った場合、数年後にそれが成長して再発する可能性があります。また、子宮を縫い合わせるため、その後の出産は帝王切開が推奨されることが一般的です。 -
主な術式
開腹手術や腹腔鏡手術、腟式手術 -
入院期間の目安
約3日〜1週間程度となることが多いです。 -
適しているケース
妊娠を希望している、筋腫が大きい
筋腫の大きさや位置によって、手術の方法が異なります。
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開腹手術 |
筋腫が大きい場合や数が多い場合に行う。 |
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腹腔鏡手術 |
お腹に数か所の小さな穴を開けて行う。回復が早く、傷が小さい。 |
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子宮鏡手術 |
筋腫が子宮の内側にある場合に行う。腟から器具を入れるため、お腹に傷ができない。 |
子宮全摘出術
子宮をすべて取り除く根本的な治療です。
筋腫が大きい場合や、症状が強くほかの治療が難しい場合に行われます。
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特徴
筋腫が再発する心配がなくなり、過多月経や生理痛、貧血といった症状が解消されます。将来的に子宮がん(体がん・頸がん)になるリスクもなくなるため、安心感を得られるという側面もあります。 -
留意点
子宮を摘出するため、将来の妊娠・出産は望めなくなります。なお、卵巣を残す場合は女性ホルモンの分泌は維持されるため、術後すぐに更年期症状が出ることはありません。 -
主な術式
開腹手術や腹腔鏡手術、腟式手術があり、最近ではロボット支援による体への負担が少ない低侵襲手術も行われています。 -
入院期間の目安
約1〜2週間程度となることが多いです。 -
適しているケース
症状が強い、ほかの治療が難しい、妊娠を希望していない、再発の心配をなくしたい
お腹を大きく切らずに行う手術
腹腔鏡下手術(Laparoscopic Surgery)
腹腔鏡下手術は、お腹に5〜10ミリほどの小さな穴を数か所開け、そこからカメラ(腹腔鏡)と細い器具を入れて行う治療です。お腹の中を医療用の炭酸ガスで少しふくらませ、カメラで内部を映し出しながら、モニターを見て操作します。
お腹を大きく切らないため、出血が少なく、痛みが軽く、回復が早いのが特徴です。多くの場合、数日で退院でき、日常生活への復帰も早い方法です。
婦人科では、子宮筋腫の手術のほか、子宮内膜症・卵巣のう腫・子宮外妊娠などにも使われています。さらに、胆のう結石や虫垂炎(盲腸)などの消化器疾患、腎臓や副腎の泌尿器疾患などにも広く応用されており、いまでは多くの分野で体にやさしい手術法のひとつとして定着しています。
薬物療法
子宮筋腫の薬による治療は、症状をやわらげる方法(対症療法)と、女性ホルモンを抑えて筋腫を一時的に小さくする方法(偽閉経療法)の2つがあります。
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対症療法
月経痛や出血など、つらい症状をやわらげることを目的に行います。
鎮痛薬や貧血を改善する薬、ホルモンの働きを調整して出血を軽くする薬などを組み合わせて使います。
筋腫そのものを小さくする効果はありませんが、症状が軽い場合に有効です。 -
偽閉経療法(ぎへいけいりょうほう)
薬の力で女性ホルモンの分泌を一時的に抑え、閉経に近い状態をつくって筋腫を小さくする治療です。
手術前に筋腫を小さくしてから行う「前治療」として使われることもあります。
長期間続けると骨粗しょう症のリスクが高まるため、この治療は基本的には6か月までに制限されています。 -
入院なし
通院治療 -
適しているケース
症状が軽い、一時的に症状をおさえたい