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くも膜下出血の症状と治療

Healthcare

監修:竹内 昌孝 先生 (西湘病院 脳神経外科部長)

くも膜下出血の症状

くも膜下出血とは、おもに脳動脈瘤と言われる血管のこぶが破裂してくも膜下腔(脳を覆っている膜のすき間)に出血が生じた状態のことです。

くも膜下出血の症状は、出血した瞬間にバットで殴られたような激しい痛みを感じます。その他、吐き気や嘔吐、意識障害、視力障害などが典型的な症状です。

多くは前兆なく突然発症し、あっという間に脳全体に広がり深刻なダメージを与える恐ろしい病気です。発症した人のうち社会復帰できる人の割合は1/3、重い後遺症が残ってしまう人が1/3、残り1/3は残念ながら亡くなってしまうといわれています。

くも膜下出血の9割もの原因となっている脳動脈瘤は、脳ドックなどの健診や、頭痛・めまいの診療で発見されることもあります(未破裂脳動脈瘤)。また脳動脈瘤の家族歴がある人は脳動脈瘤発症の確率が高まるとも言われています。治療可能な脳動脈瘤を見つけることができればくも膜下出血の予防に有効です。

未破裂脳動脈瘤の治療

未破裂脳動脈瘤の治療には「血管内治療(コイル塞栓術)」と「開頭手術(クリッピング術)」の二つの方法があります

血管内治療(コイル塞栓術)

未破裂脳動脈瘤の治療には「血管内治療(コイル塞栓術)」と「開頭手術(クリッピング術)」の二つの方法があります

  • 対象となる動脈瘤の形・大きさに制限がある、再発の可能性がある
  • 身体の負担が小さい

開頭手術(クリッピング術)

頭蓋骨の一部を開けて脳動脈瘤の根本を、チタン製などの金属クリップで挟み破裂や出血を防ぎます。

  • 形の制限なく治療ができる、再発は極めて少ない
  • 身体の負担が大きい
治療方法については患者さんの年齢や健康状態と動脈瘤の特徴から、破裂リスクと合併症などの手術リスクを検討し慎重に判断されます。(破裂リスクは動脈瘤の大きさに比例します)

血管内治療:コイル塞栓術

手首や脚の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、これをガイドとして使用し、より細いマイクロカテーテルを動脈瘤に到達させます。
次にマイクロカテーテル通してコイルを運び、動脈瘤内に金属製のコイルを挿入します。動脈瘤の中にコイルが満たされ詰まることで、血液の流れるすき間がなくなり、破裂リスクを低減します。

瘤の根っこ部分が広いとコイルが安定しないため、ステントを併用してコイルが動脈瘤からでてくるのを防ぐ場合もあります。

新たな血管内治療  「フローダイバーターステント術」

「フローダイバーター」とは通常のステントよりも網目が細かいメッシュ状のステントです。このフローダイバーターを動脈瘤の根元部分に留置すると、動脈瘤に血液が流れにくくなります。動脈瘤はゆっくりと瘤内に溜まった血液で血栓化し、やがて小さくなるか消滅します。この治療法は瘤内にコイルをいれる必要がないため、手術中の破裂リスクは低くなります。実施できる施設はまだ限られていますが、今後拡大していくとみられています。

開頭手術:クリッピング術

ドリルを使用して、こめかみ付近の頭蓋骨を取り外します。
脳動脈瘤は深いところにできることが多く、手術用の顕微鏡で慎重に脳の溝やしわを開いて動脈瘤を探します。動脈瘤を確認したら、その根元を金属クリップで挟み破裂や出血を防ぎます。
その後頭蓋骨を戻して、筋肉、皮膚を縫い合わせます。
クリッピング術は全身麻酔で行われます。