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脳梗塞の症状と治療

Healthcare

監修:竹内 昌孝 先生 (西湘病院 脳神経外科部長)

脳梗塞の症状

脳卒中における脳梗塞が占める割合は脳出血やくも膜下出血よりも多く約60%です。脳梗塞は大きく3種類に分類されます。

ラクナ梗塞

アテローム血栓性脳梗塞

心原性脳梗塞

高血圧で脳内深部の細かい動脈(穿通枝)が狭くなり、血栓ができて詰まる、15mm以下の脳梗塞です。症状は意識もしっかりしており無症状の場合もあります。

脳の血管が動脈硬化により狭くなり血栓ができて詰まります。

心臓にできた血栓が脳に流れて詰まります。これらの血栓は大きいものが多く、太い血管を詰まらせるため、突然発症して重症化しやすいという特徴があります。

ラクナ梗塞は脳梗塞の中では軽症、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞はより重症化した症状となります。

ラクナ梗塞は日本人に多いタイプの脳梗塞ですが、近年は食生活の欧米化に伴いアテローム血栓性脳梗塞が増えています。また高齢化の影響から心原性脳梗塞も同じく増加傾向にあります。

心原性脳梗塞を引き起こす 心房細動

心房細動とは、心房が細かく震え心拍のリズムが乱れる状態のことで、不整脈のひとつです。
発症すると血流が滞り血栓ができやすく、その血栓が脳まで流れて脳血管をふさいでしまいます。心房細動が原因でできた血栓は大きいものが多く、急激で広範囲な梗塞を起こすため、重症化につながってしまいます。
心房細動は健康な人でも起こりますが、加齢とともに発生率は高くなります。動悸などの症状がありますが、自覚症状がなく健康診断で発見されるまで気づかないこともあります。
心房細動と診断されたら、心原性脳梗塞を予防するためにも適切に治療を受けることが大切です。

脳梗塞の治療

- TIME IS BRAIN -
脳梗塞の治療は時間との勝負です。発症から治療までの経過時間により治療法は変わります。

t-PA静注療法 血栓回収術(血管内カテーテル治療)
発症から 4.5時間 以内 発症から 4.5時間 ~ 8時間
発症4.5時間以内であれば t-PAという、血栓を溶かす点滴で治療できます。
診察、画像検査、血液検査などに1時間ほどかかるため、発症から3.5時間以内には専門の医療機関に到着する必要があります。
おおむね発症8時間以内で t-PA静注療法が効かない人、できない人に対して行われ、手首や脚の付け根の動脈からカテーテルを脳の血管に送り込み、血栓をひっかけたり吸い込むことで取り除きます。
発症から病院に約4時間以内に搬入されると、術後は在宅で生活できる割合が高いです。

血栓回収術

手首や脚の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、血栓を回収するためのステントレトリーバーを送り込みます。
ステントレトリーバーに血栓をからめて、ステントごと血栓を回収します。ステント以外にもカテーテルで直接掃除機のように吸い取る方法もあり、近年ではこの両者を組み合わせて治療を行うことも増えています。

ステントレトリーバー

1. カテーテルでステントを送り込む

2. ステントを広げる

3. ステントに血栓をからめて回収する

血栓吸引カテーテル

脳の血管内にある血栓を掃除機のように吸い取って回収

ステントレトリーバーや血栓吸引カテーテルの登場で、脳梗塞の治療は大きく発展しました。