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下肢動脈疾患の検査と治療

Healthcare

監修: 中村 茂 先生(京都桂病院 副院長・心臓血管センター所長 )

下肢動脈疾患を評価するための検査

ABI(Ankle Brachial Index:足関節上腕血圧比)検査

上腕と足首での血圧を測定し、腕(高い方を基準として)と足首の血圧を比として表します。​
0.91以上から1.4までが正常です。

血管エコー検査

超音波を用いて血管の状態を画像で確認します。

下肢動脈疾患の治療

下肢動脈疾患の治療は生活習慣の改善から医療処置まで段階に応じで進められます。

生活習慣の改善

動脈硬化は癌ではありませんが、徐々に進行することが知られており、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの治療を行うことで進行を遅くします。

運動療法 禁煙 食事療法

歩くと足が痛くなるのに、運動して大丈夫?と思うかもしれませんが、歩行トレーニングは、下肢の血管が発達したり、筋肉の酸素利用効率が上がり症状緩和に効果的です。

喫煙は下肢動脈疾患の症状を悪化させる原因ですので、禁煙してください。

バランスの取れた食事は、動脈硬化の進行を遅らせます。糖分や塩分の摂取を控えて、野菜や果物、低脂肪のたんぱく質を中心とした食事が推奨されています。

薬物治療

下肢動脈に動脈硬化がある場合は、薬物療法をおこないます。​

抗血小板薬 抗凝固薬 血管拡張薬

血栓の形成を防ぎます。

血液が固まるのを防ぐ薬です。既存の血栓が大きくなるのも防ぎます。

血管を拡げることで血流を改善します。

血行再建治療

運動・薬物療法だけで改善がない場合は、閉塞や狭窄部位の血流を改善させる治療を行います。

末梢血管カテーテル治療(EVT:Endovascular Treatment)

手首や脚の付け根の動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入し治療を行います。

バルーン血管形成術

狭くなった血管を風船(バルーン)で膨らませて拡げ血流を改善させる方法。​
近年はバルーンに再狭窄を防ぐ薬剤を塗ったバルーン(DCB:Drug-Coated Balloon/薬剤コーティングバルーン)が多く用いられています。​

ステント留置術

狭くなった血管の内側からメッシュ状の金属の筒(ステント)を血管内に留置し、血管内腔を拡げて血流を改善する方法。​
薬剤が塗られたタイプのステント(DES:Drug-Eluting Stent/薬剤溶出型ステント)は、ステント表面から少しずつ薬を放出していくことで、再び血管が狭くなるのを防ぎます。​

血栓やプラーク(動脈硬化によるコレステロールなどの沈着物)を特殊なカッターで直接削り取るアテレクトミーという治療法もあります。特に拡張困難な石灰化病変に使用します。
カテーテル治療後のABI検査の変化
左足の脈波は低い波形でしたが、カテーテル治療後は右足の波形と同様正常波形に回復しました。ABI値も正常範囲内に回復し、血流の改善が得られています。

外科的血行再建治療

バイパス手術

血管の詰まった部分を迂回するために患者さんの足の静脈を用いたり、人工血管を吻合(ふんごう)してバイパスを作り血流を回復する方法。

血栓内膜摘除術(TEA: thromboendarterectomy)

血管内のプラークによる狭窄を、外科的に切開して除去したあと、再び血管を縫って血管内腔を広くして血流を改善させる方法です。主に足の付け根の狭窄病変に行います。​